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【午睡】

【午睡】

「……」
「……」
雲一つ無い蒼穹の空、柔らかく暖かな陽光、微かな花の香りを運ぶ微風。
これ以上無いほど『春の午後』を体現している昼下がりの庭園。
その中でも一際大きな枝振りを有する木の根元近く。正反対の色彩を持つ青年が二人。
表情は無表情のようにも見えるが、双方共に僅かながら眉間に皺が寄せられている。
原因は相手ではなく、その視線の先。
曲りなりにも剣を持つ者として、その神経を疑うような光景が目の前に転がっているのだ。
青々と生い茂った若葉の影の下、柔らかな下草の上で眠っている青年が二人。
一人は仰向けになって静かな寝息を立て、それまで読んでいたであろう本が投げ出された手の先に無造作に置かれている。
もう一人は先の青年のすぐ隣で横向きになっており、特徴的な鉤尻尾と一緒になって僅かに体を丸めている。
涼やかで凛とした存在感のほとんどを担っている、意志の強さを如実に現す瞳が閉じられている所為でその姿は年相応どころか、どこかあどけなささえ感じさせる。
―――いくら侵入者の心配はないとはいえ、無防備にもほどがあるだろう―――
だが、彼らを静かに見下ろす青年二人の思うところは別のもの。
心和むとかそんな微温湯のような感想ではなく、呆れを通り越して感心してしまう。
起こすべきか、起こさざるべきか。
本来ならば、隙がありすぎるやら腑抜けた様を晒すなやらと有無を言わさず叩き起こしているところだが、あまりの無防備さに何故かそんな気も起きない。
ならば、勝手に起きるまで放っておいてやろうか。

というか、自分以外に寝顔を晒すんじゃない。それだけがどうも眉間から皺の消えない事柄であったけれど。

by 某A

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