【nontitle】
続くかどうかわかりませんがぼんやり書いておる若シキ×子アキラたんSSです。
①
雨の日に猫を拾った。
痩せっぽっちのまだ仔猫を。
猫は全身をびっしょりと濡らし、力なく汚い道端に倒れていた。
なぜ、わざわざそんなのを拾ったのか。それはわからない。
抱き上げた猫は、無意識に体をすりよせて腕の中に収まった。
その仕草と意外な温かさが、気に入った。それだけだ。
②
濡れて冷えた体を浴槽に投げ入れて、湯をかけた。
震えていた猫は今の状況についていけず、ぼんやりと座ったままだ。
「おい、」
きちんと聞こえているようだ、瞳は向けられた。認識してているかは別として。
「脱げ。それくらいは自分でできるだろう」
微かに頷いて、ひどく緩慢な仕草で薄汚れたTシャツを脱ぎ浴槽の縁に置く。
それから、ジーンズに手をかけようとして、手が止まった。
ゆっくりと視線を動かして、周りを確認し。
最後に目が合う。 正しい判断だ。遅いが。
「…アンタ、誰だ?」
「人に名を聞くならまず自分の名を名乗れ。道端で転がっていたお前を拾ってやったのはこの俺だ」
「誰もアンタに拾ってくれ、なんて頼んでなんかいない」
「死にたいなら、このまま裸で放り出してやるぞ。すぐにその辺の好事家に拾われて、明日の朝には川に流れてるな」
「……アンタが、しないのか…?」
「そんな手間をかけるくらいなら初めから拾わん。時間の無駄だ。自分で脱がないなら脱がすぞ」
「…っ、自分で、やれる…から…だから……」
意志の強い目がこちらを見て、訴えようとするから。
仕方なく譲歩してやる。 シャワーヘッドを放り投げればホッとしたような表情を見せる。
「アキラだ…」
「なんだって?聞こえんな」
「アキラだ、俺の名前」
なかなか面白いものを拾った。
③
アキラを『拾った』男はただ「シキだ」とだけ名乗った。
それ以上何もアキラに言わなかったけれど、拾ったあとも捨てるようなことはせずにいたからアキラは居心地の悪さを少しだけ感じながらも彼が住まう、広いマンションにいた。
何もアキラに教えようとしないシキは、朝まだアキラが眠っているうちにいなくなり、帰宅も深夜に帰って来たり、2、3日帰って来なかったりもした。
稀に早く帰って来ても、アキラの存在をまるで空気のように思っているのか書類を広げ難しい顔つきで向き合っていたりしている。
アキラ自身、社交的な性質でもないからそこで根掘り葉掘り聞かなかったから、なおさらなぜ彼が自分を拾って好きなようにさせておくかわからずにそこで生活を続けていた。
『出ていく』という選択肢は思いつかないまま。
つづく。
これを某Aさんに送ったら「総帥はアキラたんを見つけた瞬間にコンマ一秒で計画を構築した」と言われました。うん、総帥はやる男。そして何気にアキラたんはがっつり落ちておるのです。
by某N
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