【〇/零】 02
【〇/零】 02
「まもの」はベッドの上に座る「彼」を見上げた。
「まもの」を連れてきた王はすぐに出て行ってしまい、広い部屋に「彼」と取り残された。その「彼」はいろいろ不満らしくベッドに置かれていた枕やクッションを次々と「まもの」に投げつけた。
上質なそれは当たってもほとんど痛くはなく、外ではもっとひどいこともされていたから「まもの」はそれらをよけずにすべて体中で受け止めた。
枕はすぐになくなってしまい「彼」はそれがまた不満のようで、半分泣きだしそうな顔で「まもの」を睨みつけた。
「まもの」は「彼」を見て、王ははたして「まもの」をなんのために連れてきたのだろうかと考えた。
「まもの」は顔をあげ、「彼」を見た。
初めて二人の視線がかさなり。「まもの」は「彼」の瞳から目をそらすことができず。「彼」がベッドをおり「まもの」のそばに来ても動けずにいた。
息がかかるくらいの近さまで来ても「まもの」は視線どころか体も動かせずにただ「彼」が何をするのかを待っていた。
白く細い腕が伸び。「まもの」の髪へのばされた。
そして、華のようにわらう。
「あかい……」
うっとりとした声に「まもの」は何となく自分がここへ連れてこられた理由が分かったような気がした。
どこか焦点の合わない視線と仕草はまるで子どもの無邪気さを感じさせ「まもの」は自然と「彼」に向かってほほ笑んだ。
瞳の色のせいで忌み嫌われることはあったけれど。まっすぐに見つめ返されたのは王と「彼」だけだ、と。
「彼」の焦点の合わない子どものような視線と、
王の同じ色をもつ揺るがない強い瞳。
だから、「まもの」はここでならきっと自分でいられるのだろう。
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